甘いのは御好き。
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空の色が変わったと思うの。
夏と秋の違いって、ね、空の色だと思いません?
秋は空が遠くなるの。
わたしが幼い時分にはわたしが住んでいたお屋敷は、まだ空が見えていたのですって。
晴れた日には窓辺に置いた椅子に掛けて、時間を潰す。
広く望む空が綺麗で、その雲や月や星をわたしが取って欲しいと駄々をこねては乳母を困らせていたのだと、お兄様がそう、おっしゃった。
わたしはことさら夜空が好き。
ね、知ってた。
雲は綿飴じゃないんですってね。
お星さまは金平糖ではなくて、お月さまはこんがり焼いたサブレではないのですって。
それは、そうすると、少しだけ残念なよう、な、でも良いわ、他の誰かに食べられて悔しい思いをすることもないのでしょう。
幼なじみのあの子がね、お月さまをとってもらったらきっとはんぶんこしましょうね、ってわたしが言うと、全部自分のものだって言い張るものだから喧嘩になって、でも、その必要もないのでしょう。
風のふく日と雨の降る日は、鎧戸をしめてしまうから憂うつね。
あの白い鎧戸に、空の絵をかけば良いとわたしは思ったのだけど、それだとずっと同じ空だから嫌。
下層の、空の見えないばしょは、それでも、窓からお外を見るといつも何か違う気がして、不思議よね、上を見上げても天井なのに。
最近わたしが遊ぶお屋敷は、二つとも下層で、古くて、空はないけど、なのに退屈しないのよ。
それはきっと空のせいではないのだけれど。
あのね、お会いできて嬉しいわ。
わたしをヴァニラと呼んでくださるお友達が増えたのは、本当に良い。
呼んで聴かせてくださりました貴方には心からの親愛を。
まだ見ぬ貴方、いつかそのお声で聴かせてくださりましね。
大好きよ。
今宵貴方の見上げる空がさやけきことを祈ります。
お月さまは皆のもの。
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