（甘いものは御好きです？）

【名前】
Vanille Eclair
ヴァニーユ・エクレール。
愛称はヴァニラ。呼ばれると嬉しい。

【性別】
其の歓びを知る、女。

【趣味】
刺繍とレース編み。冬は編み物。
チェンバロを上手に弾ける。

【好き】
香水、銀のカフリンクス、夜のお散歩、好きな誰かの腕の中。
甘いお菓子。甘い毒。　

【嫌い】
煙草の匂い、摘まれた花、一人で寝る夜、商売女、気安く肌に触る男

【好きな男性のタイプ】
自信家、野心家。実力が伴うのは無論。
実はどうしようもなく面食い。

【好きな女性のタイプ】
恋敵にならないタイプ。
女を武器にするような女が嫌い。

【服装】
ゆったりした白基調のもの。
冷える日にはストールを。

【愛用】
薔薇の紋章のインタリオリング。
バニラの香りのオードパルファム。

【性格】
いかにもな温室育ち、世間知らずなお嬢様と言うのがまさに。
そのくせ妙に諦めを知る生き様で、どこか幸薄い雰囲気も。
ある時までは望みは叶って当たり前だと信じて生きてきた。
その名残か我が儘で独占欲の強い、重い女。
行き過ぎた愛情には脆さと危うさが覗く。
添い寝されないと寝つきの悪い、致命的な寂しがり。

【生い立ち】
戦争狂の主人と途方も無い浪費家の奥方のせいで傾き果てた旧家の令嬢。
生まれつき体の弱いヴァニーユを親は疎んじたが、六つ上の兄に愛され慈しまれて育つ。恨みを買うことの多かった両親は後に何者かにより毒殺、兄が家督を継いで当主となり、手段は知れぬがある程度まで家を再興。それでも莫大な負債を抱えていたことは病床のヴァニーユの耳に届くことはなかった。
病に臥したヴァニーユにとって兄が世界の全てであり、その依存を心地好いものと受け入れた彼もまた彼女に他の世界を見せまいとした。堕ちるばかりの共依存。病はとうに克服していながら、兄の手で薬と称し与えられる緩やかに躯蝕む毒を彼女が受け入れたのは必然。酷く歪んだ相思相愛。
けれどその暮らしを維持する為の兄の労苦をヴァニーユは知らず。建前は音楽家でありながら、パトロンは裕福な女ばかり。男妾のようだと揶揄されるその有様の、無数の女の影だけはヴァニーユも気付いていた。
やがて無理が祟って兄が体を壊し、家の名を残すためだけに妻を娶る。それと同時に今や弱り果てたヴァニーユの未来を案じ、時を合わせて彼女にも未来を保証するだけの相手との縁談を持ちかけた。全て彼女のためであり、要らぬ心労をかけぬようにと真意も事実も告げぬまま。
そして真意を知らぬがゆえにヴァニーユが抱く誤解は「捨てられた」。
記憶も朧な婚礼の夜、気付けば返り血を浴びて屋敷を逃げ出していた。血濡れのナイフは愛した人の躯に刃を埋めたまま。彼の指から抜き取った、薔薇の紋章の指輪ひとつを握りしめ。
紆余曲折を経、現在は縁故ある貴族の元に身を寄せる。今や毒を盛られることもなく、平均未満の健康体。

【傷】
「薬指が無いから結婚出来ません」
逃亡の後、過日兄から貰った誓いの指輪を捨てたついでに、切り落とそうと試みた左手薬指。力が足りず落とすには至らぬものの、皮肉なことに指輪にも似た赤黒い傷痕が生涯残ることとなる。
他人の終焉に感慨薄く、得た能力に思うところはないらしい。
傷は件のインタリオリングで隠している様子。