甘いのは御好き。
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お人形は喋らないから怖いのだろうとメロが言ったけど、
それは、きっと、正しいことよね。
でも、喋っても怖いとおもうのよ。
わたしの暮らした館にはお人形がたくさんあって、
もしもあの子たち皆が喋れて、あの子たち同士友達になって、
わたしがのけ者にされたならそれは怖いことだと思いませんこと。
わたしはあの子達全ての名前をもう覚えてはいないから、
怒っていると思うのよ。
独りで寝る夜傍らにあの子たちの誰かがいたのは今はむかし。
むかしのむかし。
そういえば
お人形はいつもお品よくしていてお行儀良くて。
そうじゃない姿なんて想像できないけれど。
人間はどんなにお人形みたいに綺麗で可愛い子でも、豹変、するの、ね。
バトンを見てしりました。
拾ってきたから今度してみる。
おやすみなさい。
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「ねぇ、ヴァニラ」
あのね、
……食欲の秋(笑)
美食家なあの子いちおしの、あれはカフェだかレストランだか、はたまたラウンジというのだか。
で、わたしはアフタヌーンティー。
あの子はランチ。
あの子いわく、おすすめはシェフが目の前で作ってくれるフォアグラ入りのふわふわオムレツ、刻みトリュフのソースかけ。
ひとくち頂いたけど美味だった。
あの場所は、折り目正しい身なりの給仕も、ドレス姿でフルートを奏でるお姉さまも美しい。
ね、ちょっと贅沢な気分でしょう。
今度ハイティーで行きたいわ。
嗚呼、秋。
芸術の秋。
旧い音楽は良いものです。
わたしはクラヴサンを弾くし、あの子はヴァイオリンだとかヴィオラダモーレがお上手だから、二人で何か弾けたら良いと話すのだけどなにが良いやら。
わたしがピアノ、あの子がヴァイオリンならばフォリアが良いと思うのよ。
踊ってくれる人がいたならなお素敵だと思いませんこと。
コンサート、か、嗚呼。観劇に行きたいわ。
お兄さまがよく、大劇場のオペラの話をしてくださった。
でも、ねぇ、そういえばいつのまにエルフヘイムに移ったのだっけ。
けれどあの旧いおばけ屋敷はアクスヘイムにあるというから、わたしは変わらずあの街に行く。
あのね、よかったと思うのよ。
森の暮らしってわたし、あんまり性に合いませんもの。
森は遠くから眺めるもの。
ありのままの自然より人が飼い馴らした自然が好きよ。噴水の立つ薔薇の園。
エルフヘイムに馴染むには時間がかかることでしょう。
正直エルフの皆さまの事情をわたしはよく知らなくて、あまり知ろうとも思わない。
ただ、なんとなく政府が嫌な感じがするから対峙するのが良いでしょう。
なんとなく、は大切よ。
あのね、最後まで付き合ってくれた貴方に。
巨峰のタルト。ひとくちあげる。
あ、でもね。
チョコのプレートはわたしの、よ。
いちばんよく熟れた葡萄もね。だって。だって!
空の色が変わったと思うの。
夏と秋の違いって、ね、空の色だと思いません?
秋は空が遠くなるの。
わたしが幼い時分にはわたしが住んでいたお屋敷は、まだ空が見えていたのですって。
晴れた日には窓辺に置いた椅子に掛けて、時間を潰す。
広く望む空が綺麗で、その雲や月や星をわたしが取って欲しいと駄々をこねては乳母を困らせていたのだと、お兄様がそう、おっしゃった。
わたしはことさら夜空が好き。
ね、知ってた。
雲は綿飴じゃないんですってね。
お星さまは金平糖ではなくて、お月さまはこんがり焼いたサブレではないのですって。
それは、そうすると、少しだけ残念なよう、な、でも良いわ、他の誰かに食べられて悔しい思いをすることもないのでしょう。
幼なじみのあの子がね、お月さまをとってもらったらきっとはんぶんこしましょうね、ってわたしが言うと、全部自分のものだって言い張るものだから喧嘩になって、でも、その必要もないのでしょう。
風のふく日と雨の降る日は、鎧戸をしめてしまうから憂うつね。
あの白い鎧戸に、空の絵をかけば良いとわたしは思ったのだけど、それだとずっと同じ空だから嫌。
下層の、空の見えないばしょは、それでも、窓からお外を見るといつも何か違う気がして、不思議よね、上を見上げても天井なのに。
最近わたしが遊ぶお屋敷は、二つとも下層で、古くて、空はないけど、なのに退屈しないのよ。
それはきっと空のせいではないのだけれど。
あのね、お会いできて嬉しいわ。
わたしをヴァニラと呼んでくださるお友達が増えたのは、本当に良い。
呼んで聴かせてくださりました貴方には心からの親愛を。
まだ見ぬ貴方、いつかそのお声で聴かせてくださりましね。
大好きよ。
今宵貴方の見上げる空がさやけきことを祈ります。
お月さまは皆のもの。
(甘いものは御好きです?)